
空き家を相続した時の固定資産税はどうなる?譲渡所得税や税金対策も紹介
空き家を相続した後、思わぬ税金の負担に悩んでいませんか。相続直後には相続税や登録免許税、その後も固定資産税や都市計画税、さらに売却を検討する場合には譲渡所得税が課されるなど、空き家を巡る税金は多岐にわたります。また、適切な対策を取らなければ、固定資産税が急増するリスクも潜んでいます。この記事では、空き家所有者が直面しやすい税金の全体像と、負担を抑えるための具体的な対策を分かりやすく解説します。今後のご負担を減らす第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
相続した空き家に関わる税金の全体像
相続により空き家を取得した場合、まず「相続税」と「登録免許税」が必要です。相続税は「三千万円+六百万円×法定相続人の数」を超える資産に対して課税され、小規模宅地等の特例により宅地評価額を大幅に減額できる場合があります。登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の〇・四パーセント(例:評価額一千万円なら四万円)と定められています(登記名義人が相続人の場合。法定外の場合は二%となります)。
相続後、空き家を所有し続けると毎年「固定資産税」と「都市計画税」がかかります。通常、住宅用地には軽減措置があり、二百平方メートル以下の小規模住宅用地では課税標準額が六分の一(固定資産税)、三分の一(都市計画税)に減少される仕組みです(それ以上の部分にも軽減あり)。
ただし、売却時には「譲渡所得税および住民税」がかかります。譲渡所得は「譲渡収入-取得費-譲渡費用」で算出され、所有期間が五年以下(譲渡した年の一月一日時点)なら、所得税・住民税あわせておよそ三十九・六三パーセント、五年を超える長期譲渡では約二十・三一五パーセントの税率となります。なお、取得期間には被相続人の所有期間も含まれます。
まとめると、相続時にかかる税金、所有中の固定資産税・都市計画税、売却時の譲渡所得税・住民税、それぞれに異なる制度と税率がありますが、それらを整理して把握することが重要です。
| 局面 | 税金の種類 | 概要(税率など) |
|---|---|---|
| 相続時 | 相続税 | 基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人数」を超えた部分に課税。宅地の特例あり |
| 相続時 | 登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4%(法定相続人の場合) |
| 所有中 | 固定資産税・都市計画税 | 小規模住宅用地は軽減(1/6・1/3など)、非住宅用地や更地は高税率 |
| 売却時 | 譲渡所得税・住民税 | 所有期間に応じて短期39%前後・長期20%前後(復興特別所得税含む) |

固定資産税が6倍になるリスクと注意点
相続した空き家を所有し続ける場合、注意すべきは「住宅用地特例」が外れることで、固定資産税が最大「6倍」になるリスクがあることです。住宅用地特例とは、住宅として使われている土地に対し、固定資産税の課税標準額を「6分の1」に軽減する制度であり、都市計画税も「3分の1」に軽減されます。特定空き家として指定され、自治体から「勧告」を受けると、この特例が適用されなくなり、税額が大幅に増加します 。
「特定空き家」とは、倒壊や衛生上の危険、景観の損失、周辺環境への悪影響などの状態にある空き家を指します 。指定の流れは、自治体による調査→助言・指導→勧告→命令→行政代執行という段階を踏むことが法律で定められています 。
さらに、2023年12月からは「管理不全空き家」という区分も加わり、こちらも対象となると特例が適用されず、固定資産税が増えるおそれがあります。管理不全空き家は、将来的に特定空き家になり得る空き家として自治体が認定するものです 。
以下に、主要なポイントをまとめた表をご覧ください。
| 区分 | 特例適用 | 税負担の変化 |
|---|---|---|
| 通常の住宅用地 | 適用あり(6分の1) | 軽減された税額 |
| 特定空き家(勧告後) | 適用なし | 税額が最大約6倍 |
| 管理不全空き家(指定後) | 適用なし | 税額が増加(最大6倍) |
特定空き家や管理不全空き家の指定を受けると、固定資産税だけでなく都市計画税も増える可能性があります 。また、勧告に従わないまま放置すると、命令・過料(最高50万円)・行政代執行による解体といった法的措置が取られることもあります 。
つまり、所有し続けることで大きな税負担やリスクにつながる可能性がありますので、早めに対策を検討することが重要です。
譲渡所得税の優遇制度と活用条件
相続で取得した空き家を売却する際には、「被相続人の居住用財産(空き家)にかかる譲渡所得の特別控除」の制度を活用できます。この制度では、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、相続人が複数いる場合は特例の控除額が変わることもあります。以下に主な要件と注意点を分かりやすく表形式で整理しています。
| 項目 | 要件の概要 | ポイント |
|---|---|---|
| 控除額 | 最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円) | 譲渡所得から直接差し引かれるので大幅な節税が可能です。 |
| 売却期限 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(令和9年12月31日まで延長) | 期限を過ぎると特例は使えず、税負担が大きくなります。 |
| 対象建物 | 昭和56年5月31日以前に建築された被相続人が居住していた家屋であること | 築年の確認をしっかり行いましょう。 |
控除額については、相続人が1名の場合は3,000万円が上限となりますが、相続人が複数いる場合には、各自に控除が適用されます。ただし、相続人が3人以上いる場合には1人あたり2,000万円の控除となる点にご注意ください。これにより、最大で6,000万円(例:2名)または6,000万円(例:3人×2,000万円)まで控除可能です。
売却期限は「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」です。令和5年度の税制改正により、この期限は令和9年(2027年)12月31日まで延長されました。期限を過ぎると特例が適用されず、譲渡所得に対して一般的な税率が適用されるため、節税効果が大きく減少します。
対象となる建物は、相続開始前に被相続人が居住していた家屋で、かつ昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物である必要があります。さらに売却にあたっては、耐震リフォームを行うか、建物を解体して更地にしたうえでの譲渡が求められます。売却後に買主が取り壊す場合は、契約書にその旨を明記する必要があります。
以上の要件を満たすことで、相続した空き家の譲渡所得税を大きく軽減できる可能性があります。制度の利用には細かな条件確認が必要ですので、期限や要件をしっかり把握したうえで、専門家に相談しながら進めることをおすすめいたします。

空き家所有者が取るべき税金対策のステップ
以下に、相続で取得した空き家を所有し続けるか、売却等を検討する際に有効な税金対策のステップをご案内いたします。
| ステップ | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| ステップ① | 税務・法務の専門家(税理士・司法書士)に早めに相談 | 税額の仕組みや適用可能な特例を正確に把握できます |
| ステップ② | 固定資産税や譲渡所得税を抑える選択肢を検討 (例:売却、耐震改修、解体、リフォームなど) | 税負担軽減と資産価値の維持・向上に繋がります |
| ステップ③ | 税制優遇を活用するため、売却期限や申告期限のスケジュール管理 | 特例の適用漏れを防ぎ、最大限の節税が可能になります |
まず、専門家に相談することは非常に重要です。固定資産税の負担や譲渡所得税の特例について、税理士や司法書士が現在の制度や手続きを正しく案内できます。特に特定空き家指定による固定資産税の増額リスクや、譲渡所得税における3,000万円特別控除(最大2,000万円に縮小となる場合もあり)は、制度理解なしに対応するのは困難です。これらの制度内容は最新の税制改正を反映しており、専門家による確認が不可欠です。
次に、売却、耐震改修、解体、リフォームなどの選択肢を比較することで、固定資産税の優遇継続や譲渡益の圧縮による節税効果を得やすくなります。例えば、耐震改修や解体を行ったうえで売却すれば、譲渡所得から最大3,000万円の控除が受けられます(相続人が3人以上の場合は2,000万円)。また、空き家が特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の住宅用地軽減が適用されず、税額が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。
最後に、税制優遇を逃さないためには、売却期限や申告期限などのスケジュール管理が欠かせません。相続空き家に関する3,000万円特別控除は、令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象とされています。また、耐震改修や解体を売却の翌年2月15日までに行った場合も適用されます。さらに、取得費加算の特例を使う場合、相続税申告期限後3年以内(通常は相続開始から約3年10か月)に売却する必要があり、これらの期限を見逃さないよう、計画的に進めることが重要です。
まとめ
空き家を相続した際には、相続税や登録免許税だけでなく、固定資産税や譲渡所得税など複数の税金が関わってきます。特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税が大幅に増加するリスクもあるため、早めの対策が重要です。また、譲渡所得税の優遇制度を活用すれば税負担を軽減できる可能性がありますが、適用には細かな条件があるため準備が必要です。専門家へ相談し、適切な手続きを進めることで、将来の税金トラブルや余分な負担を防ぐことができます。空き家を所有している方は、税金対策を意識しながら一歩ずつ具体的な行動を始めることが大切です。
